知識

オウンドメディア、ペイドメディア、アーンドメディア

「オウンドメディア」、「ペイドメディア」、および「アーンドメディア」の概念は、デジタルマーケティングとメディア戦略の進化とともに徐々に台頭してきました。正確な始まりの時期は特定できませんが、これらの用語は、インターネットと普及と技術の進化に伴ってメディアが多様化し、マーケティングの方法が変化したことに関連して発展しました。

 

インターネット惣明からリアルタイムで変化を体験してきた世代としては、たまらなくシビれる話題ですね。
そして、この概念はメディア利用の面で新たなフェーズに突入しようとしているようです。

 

本コラムでは、これら3つの概念を整理しつつ、いま私たちが直面している新たな消費行動を理解する一助となる考察をご提供したいと考えています。

オウンドメディアとは

まず「オウンドメディア」は、企業やブランドが自身で所有・運営し、自分たちのコンテンツを制御するメディアプラットフォームやチャンネルのことを指します。

オウンドメディア戦略は、ブランドの知名度を高め、顧客との関係を構築・維持し、信頼性を築くために重要です。自社の所有物であるオウンドメディアは、企業が自身のメッセージをコントロールし、直接的にコミュニケーションを行い、独自の声を持つことができるため、マーケティング戦略の一部として活用されています。

オウンドメディアの特徴

オウンドメディアは、ブランドのオンラインプレゼンスを強化し、信頼性を高め、顧客との関係を築くための重要な要素です。成功するためには、コンスタントなコンテンツ提供とターゲットオーディエンスのニーズに応じた戦略が不可欠です。

完全な所有権と制御

オウンドメディアは広告主やブランドが完全な所有権と制御を持つプラットフォームやコンテンツです。これは、ウェブサイト、ブログ、ソーシャルメディアアカウント、メールニュースレター、アプリ、カスタマーポータルなど、さまざまな形式を取ります。

ブランドメッセージの自由な表現

広告主はオウンドメディアを使用して、自社ブランドやメッセージを自由に表現できます。これにより、ブランドのビジョンや価値観を共有し、ターゲットオーディエンスとの関係を深めることができます。

カスタマイズとブランディング

オウンドメディアは独自のブランドイメージやスタイルでカスタマイズできます。ブランドの一貫性を保ち、独自性を強調するために使用されます。

コンテンツ制作と共有

広告主は、オウンドメディアを通じて自身のコンテンツを制作および共有できます。これにはブログ記事、ビデオコンテンツ、インフォグラフィックス、ウェブページなどが含まれます。

顧客とのコミュニケーション

オウンドメディアを使用して、顧客とのコミュニケーションを促進し、対話を持つことができます。顧客からのフィードバックを受け入れ、質問に応答し、関係を構築するために使用されます。

コンテンツマーケティング

オウンドメディアはコンテンツマーケティング戦略の一部として活用され、有益な情報やエンターテイメントを提供し、ターゲットオーディエンスを引きつけます。

データ収集と分析

オウンドメディアは、顧客の行動やインタラクションに関するデータを収集し、分析するための貴重なプラットフォームです。これにより、戦略の最適化と効果測定が可能になります。

オウンドメディアの例

ウェブサイト

企業の公式ウェブサイトは、製品やサービスに関する情報を提供し、オンラインプレゼンスを構築するための主要なオウンドメディアです。

ブログ

専門知識や業界トピックに関する記事を共有するためのプラットフォームとして使用されます。ブログはオーガニックなトラフィックを引き寄せ、SEO(検索エンジン最適化)の一部としても機能します。

ニュースレター

ニュースレターは、顧客とのダイレクトなコミュニケーションの手段として利用され、最新情報やプロモーションを提供します。

ペイドメディアとは

次に「ペイドメディア」は、広告主が広告スペースや広告プレースメントを購入し、そのメディアプラットフォームで広告を表示または配信することを指します。ペイドメディアは、広告主が広告を表示させるために対価を支払う有料のメディア広告形式です。

ペイドメディアは、広告主が特定のターゲットオーディエンスにリーチし、製品やサービスを宣伝する手段として広く使用されています。広告主は通常、広告の表示または配信に対して費用を支払い、その対価に応じて広告の露出や効果を追跡および測定します。ペイドメディア戦略は、ブランドの知名度を高め、販売促進を行い、目標を達成するための重要な手法として広告業界で使用されています。

ペイドメディアの特徴

このペイドメディアは、広告主が広告をターゲットオーディエンスに提示し、効果を計測しやすいため、デジタルマーケティング戦略の一環として広く利用されています。

広告主の制御範囲

ペイドメディアは、広告主が広告を表示し、広告メッセージを制御できるメディアです。広告主は、広告のコンテンツ、デザイン、ターゲティングを選択および調整できます。

広告表示のための支払い

ペイドメディアでは、広告主は広告表示のためにメディアオーナーやプラットフォームに対して支払いを行います。これには広告のクリック数、表示回数、コンバージョンなどに応じて支払うモデルも含まれます。

計測と効果測定

ペイドメディアは、広告表示の成功を評価するための計測ツールとデータ分析を提供し、広告主に効果的な広告キャンペーンを評価する手段を提供します。

競争的な環境

ペイドメディアは競争が激しい環境で存在し、広告主同士が競り合って広告表示の権利を獲得することが一般的です。

迅速な結果

ペイドメディアは、比較的迅速な結果を期待できるメディア形式であり、広告主がキャンペーンの成果をすぐに評価できます。

ペイドメディアの例

検索連動(テキスト)広告

検索エンジンの検索結果ページに表示され、特定のキーワードに関連する広告が表示される。クリックすると関連ページに移動します。

バナー広告

ウェブサイトのヘッダーまたはサイドバーに表示され、クリックすると広告先のウェブページに誘導します。

動画広告

デジタルマーケティング戦略の一部として非常に重要度が増しており、オンライン視聴者にリーチし、ブランド認知を高め、製品やサービスの宣伝を行うために幅広く活用されています。

ソーシャルメディア広告

Facebook、Instagram、Twitterなどのソーシャルメディアプラットフォームで表示され、ユーザーのタイムラインに広告が表示されます。

テレビ、ラジオ、新聞広告

テレビ番組中やラジオ番組中に放送される広告メッセージ、あるいは新聞の特定のページに掲載される広告です。近年はレガシーメディア広告と一括りにされることもあります。

雑誌広告

雑誌内の特定のページに掲載される広告です。一般的な形式には全ページ広告、半ページ広告、クリエイティブな広告があります。

記事体広告

ウェブサイトや出版物に統合され、一般のコンテンツと同様のスタイルやフォーマットを持つ広告。記事体広告は一般的なコンテンツに溶け込むように設計されます。

屋外広告(OOH:Out of Home)

高速道路や都市のランドマークに設置される大型の広告看板であるビルボード広告、電車の駅やバス停の待合室やバス停の広告スペースに掲示される広告など多岐に渡ります。

  • ビルボード広告
    高速道路や主要な交差点などに設置された大型の広告看板。
  • 屋外ポスター広告
    街角や交通機関の駅などに掲示されるポスター広告。
  • 交通広告
    バス、電車、地下鉄などの公共交通機関内や駅での広告。
  • デジタル屋外広告
    電子ディスプレイやLEDパネルを使用して動画や静止画広告を表示するデジタル広告。
  • スポンサーシップ広告
    スポーツイベントやフェスティバルなどの公共の場で広告スポンサーとしてブランドをプロモーションする広告。
  • 屋外看板
    商業施設や建物の外壁に設置される看板。電柱広告なども含まれます。
  • ストリートファニチャー広告
    ベンチ、ゴミ箱、公共トイレ、待合所などの街角家具に広告が設置される広告。

デジタル広告のプラットフォーム DSP広告とSSP広告

DSP広告とSSP広告は、デジタル広告エコシステムの一部であり、オンライン広告の効果的な配信と管理を支援するためのテクノロジーとプラットフォームです。

これらの広告は、デジタル広告市場でのプログラマティック(運用型)広告の重要な要素であり、効率的でターゲット指向の広告キャンペーンの実行を支援します。

DSP広告が広告主の視点から広告キャンペーンを管理し、SSP広告が出版者の視点から広告インベントリを最適化する役割を果たすことで、デジタル広告エコシステムは効果的に機能します。

以下にそれぞれの役割と機能について説明します。

DSP(Demand-Side Platform)広告

  • 役割
    DSPは、広告主やメディアバイヤーが広告キャンペーンを計画、設定、管理し、デジタル広告を購入するためのプラットフォームです。これは広告主がターゲットオーディエンスにリーチするためのインベントリ(広告スペース)を購入する役割を果たします。
  • 機能
    DSPは、リアルタイムで広告インベントリを入札し、最適な価格で広告表示を確保するためのアルゴリズムを使用します。広告主は、ターゲットオーディエンス、デバイス、場所、時間帯などを指定し、広告表示を最適化するための設定を行います。また、DSPは効果測定と分析も提供し、キャンペーンの成功を追跡するのに役立ちます。

SSP(Supply-Side Platform)広告

  • 役割
    SSPは、デジタルメディアプロパティ(ウェブサイト、アプリ、オンラインメディアなど)が広告インベントリを管理し、広告主や広告ネットワークに対して提供するためのプラットフォームです。これは広告インベントリを最適化し、最大の収益を確保する役割を果たします。
  • 機能
    SSPは、広告インベントリの管理、価格設定、データ分析、広告リクエストの受信などの機能を提供します。SSPは複数の広告ネットワークやDSPと連携し、最適な広告を表示するために広告競りを実行します。広告主には、インベントリにアクセスするための設定が提供されます。

アーンドメディア

最後に「アーンドメディア(Earned Media)」です。これは、ブランドや企業が直接コントロールできないメディア露出のことを指します。例えば、報道機関やソーシャルメディア上での口コミ、レビュー、シェアなどが含まれます。

これは広告主が直接購入したり所有するのではなく、ユーザーから自発的に生み出されたメディアの形式です。

アーンドメディアを金銭的な報酬で購入しようとすることは、信頼性と信用性を損なう可能性があるため問題となります。たとえば、口コミや評判を金銭で操作しようとする試みは、不正行為や詐欺と見なされ、信頼性の喪失や法的な問題につながる可能性があります。

アーンドメディアの特徴

アーンドメディアは、ブランドの信頼性を高め、コンシューマーエンゲージメントを増加させるために重要な役割を果たします。広告主は、アーンドメディアを促進し、肯定的なオピニオンを醸成し、消費者との対話を奨励する戦略を取ることがあります。

自発的な生成

アーンドメディアは、広告主が直接制御できない形式であり、ユーザーや消費者が自発的に生成します。これは、ソーシャルメディアでのシェア、口コミ、オンラインの評判、ブログ記事、メディアの報道などに具体化されます。

信頼性と信用性

アーンドメディアは通常、ユーザーからの信頼性と信用性が高く、広告主自身が生成したコンテンツよりも説得力があります。他の人々からのオピニオンや評価は、購買決定に影響を与えることがあります。

オーガニックな展開

アーンドメディアは、ユーザーが自発的に共有し、拡散させることによって展開されます。これは、コンテンツがバイラルに広がる場合や、口コミによって広がる場合があります。

アーンドメディアの例

ソーシャルメディア共有

ソーシャルメディアプラットフォームでの投稿やコンテンツ共有は、アーンドメディアの一例です。ユーザーが広告主のコンテンツを自発的に共有し、それによって広がるメディアです。

口コミと評判

顧客の評判や口コミは、他の顧客による製品やサービスの評価であり、アーンドメディアの一形態です。オンラインのレビューサイトやソーシャルメディアでの評判が含まれます。

ブログ記事とメディア報道

インフルエンサー、ブロガー、ジャーナリストなどが広告主に関する記事や報道を書く場合、それはアーンドメディアと見なされます。

ステルスマーケティングとアーンドメディア

アーンドメディアを金銭的な報酬で操作しようとする行為は、ステルスマーケティング(ステマ)の一形態とみなされることがあります。ステルスマーケティングは、広告主やブランドが自身の関与を隠し、第三者のように振る舞いながら製品やサービスを宣伝し、ユーザーや消費者を欺こうとする行為です。

ステマは、信頼性と透明性の欠如に起因する問題を引き起こす可能性があります。消費者は、自分たちに正直で誠実な情報を提供してくれるブランドやメディアを信頼し、ステルスマーケティングに対して警戒心を持ちます。その結果、信頼性の低下やブランドの評判の悪化、法的な問題につながることがあります。

したがって、広告主やブランドは、透明で誠実なコミュニケーションを大切にし、アーンドメディアの価値を高めるためにユーザーや消費者との関係を構築することが重要です。ステマのような不正行為は、信頼を築く過程で逆効果となる可能性が高いため、避けるべきです。

メディアミックス戦略

オウンドメディア、ペイドメディア、アーンドメディアを組み合わせて使用する広告戦略の形態をメディアミックス戦略と言います。これらの異なるメディアタイプを組み合わせることで、ブランドの広告効果を最大化し、多くの視聴者にアプローチすることが可能になります。

メディアミックス戦略では、これらのメディアタイプを組み合わせ、ブランドの広告メッセージを異なる視聴者に異なるコンテクストで伝えます。たとえば、オウンドメディアを使用してブランドのストーリーを深堀りし、ペイドメディアを使用して新たな視聴者にリーチし、アーンドメディアを活用してユーザーからの自発的なサポートや評判を醸成することが考えられます。

メディアミックス戦略とブランドプレゼンス

メディアミックス戦略はブランドプレゼンスの構築と強化に不可欠です。多様なメディアを統合的に活用することで、ブランドが市場で競争力を維持し、成長するのに役立ちます。

ブランドプレゼンスとは、ブランドが市場や業界で存在感を示すこと、顧客に認知され、視認性を高めることを指します。これは、ブランドの知名度、信頼性、価値観、スタイル、一貫性などを含みます。

メディアミックス戦略とブランドプレゼンスの関係は以下のようになります。

ブランドプレゼンスの構築

メディアミックス戦略は、ブランドプレゼンスを構築し、強化するための手段として使用されます。異なるメディアチャンネルを活用してブランドメッセージを広め、多くの人々にブランドを認知させます。

一貫性と認知度

メディアミックス戦略において、一貫性のあるブランドメッセージを異なるメディアで伝えることが重要です。これにより、顧客に対するブランドの認知度が向上し、ブランドの特徴や価値観が浸透します。

ターゲットオーディエンスへのリーチ

メディアミックス戦略は、異なるメディアを使用して異なるターゲットオーディエンスにリーチすることを可能にします。これにより、ブランドは幅広い層に向けてプレゼンスを構築できます。

効果的な広告キャンペーン

メディアミックス戦略は、効果的な広告キャンペーンの実行をサポートします。異なるメディアチャンネルを組み合わせることで、広告のリーチと影響を最大化できます。

Summary

現代の消費者行動は多様化し、デジタルメディアの普及により情報へのアクセスが容易になったため、広告主やブランドにとって単一のメディアチャンネルで全ての消費者にリーチすることは難しくなりました。したがって、メディアミックス戦略がますます重要性を増しています。

 

メディアミックス戦略は現代の多様な消費者行動に対応し、ブランドのメッセージを効果的に伝えるための必須の戦略です。コスミックエンジンの推進するデジタルブランディング戦略の中にも、当然ながら組み込まれています。

 

消費者がさまざまなメディアで情報を収集し、さまざまなブランドに触れ、製品やサービスを評価することを考慮に入れ、それに対応するためにメディアミックスを戦略の一部として統合することが成功への鍵です。