デザイン

デザインを味わう|素人でもわかりやすいデザインの評価方法とは

私たちの行う(商業的な)ビジュアルデザインとはビジネスにおける問題解決の一環であり、論理的な構造や設計と、視覚的な関心を引き心を動かすエモーショナルな表現が融合した総合芸術でもあります。
多くの一般の方にとって、ビジュアルデザインを評価することは難しく、美的で主観的な側面が強調されることがあります。
実際、デザインを評価するためには専門的な要素や知識が存在しますが、必ずしも専門的な視点に立つ必要はありません。そこで、よりわかりやすく評価し、目的を共有しやすい方法として、料理になぞらえてデザインを評価する方法を考えてみました。
デザインレビューのような真面目な話題ではなく、半分お遊びですので、楽しんでお付き合いいただければと思います。

料理になぞらえると、デザインの評価は見た目、テイスト、フレーバー、余韻といった要素で捉えることができそうです。デザインの見た目が美しく、テイストがターゲットに合っていて、独自のフレーバーがあるデザインは、より心に残るものとなります。また、料理のようにデザインの評価にも個人の好みや感性が関与します。これは「ペルソナ」と「ブランド」に沿ったものという評価のルールはありますが、感性に触れるかどうかは重要な評価になります。

デザインの味わい方

それでは早速、デザインを味わっていきましょう。

見た目(Appearance)

食べ物や飲み物の「見た目」は、最初に目に触れる要素です。料理やデザートが美しく盛り付けられていたり、飲み物が鮮やかな色合いを持っていると、食欲を刺激し興味を引きます。料理の見た目が整っていることは、食事の楽しみを高める重要な要素の一つです。

デザインの外観やレイアウトが魅力的かどうかを評価します。色の使い方や形状、バランスなどが美しく、視覚的に楽しませるデザインは高評価です。一目見て「おいしそう」と思えるデザインになっていれば、まずはOKです。あまり食欲がわかないデザインであれば、作り直してもらいましょう。

テイスト(Taste)

「テイスト」とは、食べ物や飲み物の味わいや風味を指します。甘い、酸っぱい、しょっぱい、苦い、辛いなど、様々な味覚の感覚があります。テイストは、食品の味を通じて直接的に楽しむ要素であり、それがどれだけ満足感や喜びを与えるかが重要です。

デザインにおいては、スタイルや作法が目的に合っているかどうかを考慮します。
甘い、軽い、硬い、誠実…などがテイスト表現です。個々人の好みには差があるため、自分の主観ではなく、ターゲットとする対象の志向性やブランドの文脈に合っているかを評価することが重要です。
テイストは合っているけど薄味にとか濃いめにとか、少しスパイスを加わえようとか、シェフであるデザイナーに注文してみてください。

フレーバー(Flavor)

「フレーバー」とは、食品や飲み物が持つ独特の香りや風味の事です。テイストと似ていますが、フレーバーは主に口に入れる前や、口中から感じる嗅覚の刺激を指します。例えば、コーヒーの豊かなアロマや新鮮なフルーツの香りなどがフレーバーの一例です。

デザインに独自性やオリジナリティがあり、他と差別化されているかを評価します。他にはない独特な要素がデザインに加わることで、魅力的になることがあります。
フレーバーは、おそらくデザイナーの感性に依るところが大きいかもしれません。食材(デザインの対象)のもつ特性からフレーバーを引き立たせることができるシェフ(デザイナー)を見極めましょう。

余韻(Aftertaste)

「余韻」とは、食べ物や飲み物を消費した後に口の中に残る味や感覚を指します。良い余韻は、満足感を与えたり、素晴らしい食体験を長く楽しむことができるような要素です。例えば、ワインの場合、余韻が長く続くことは高品質なワインの特徴とされています。

デザインを見た後に残る印象や感情を考慮します。デザインが記憶に残り、長く心に留まるような要素があるかどうかを確認します。

エクスペリエンスやブランディングの観点では、この余韻は極めて重要です。食べ飽きず、何度でもまた食べたくなる様な余韻。ここもシェフであるデザイナーの腕前が試されるところです。

好みに合わせたアレンジ

また、食べ物の評価と同様に、デザインも個人の好みや文脈によって評価が異なることを理解することが重要です。あるデザインがある人にとっては魅力的である一方、他の人には合わないと感じることもあります。お客様の好みに対する洞察力、アレンジ力のある・なしもデザイナーによって異なりますし、持ち味の違いもあるので、コーディネーターを介してデザイン会社を探すのも一理あります。

これらのアプローチを通じて、デザインを専門的な見方ではなく、より身近な料理の要素のように評価し、楽しむことができます。それにより、デザインに対する理解や評価が一層親しみやすくなれば幸いです。楽しい試みとして、デザインを食べ物のように評価してみてください!

Summary

デザインの素晴らしさは、専門的な知識で味わうものではありません。心の振れ方や感じ方といった、ターゲットの感性に届くかどうかが評価されるものなのです。

 

一方、デザイナーが自身のデザインを評価する際には、客観的な視点と主観的な視点の両方が必要です。自分だけの世界に満足することなく、自身の感性や視野を広げることでより深い理解や洞察が得られます。お客さんを唸らせる自慢の一皿を提供できるプロフェッショナルを目指しましょう。