採用活動を俯瞰し最適なコスト配分を検討する
採用に関わるツールや媒体は、枚挙にいとまがありません。
まずは、採用活動全体を俯瞰し、どこにコスト投下すべきか考えましょう。
採用フローを図にして見える化しておくと、社内共有がしやすくなるのでおすすめです。
採用フローの考え方についてはこちらの記事をご参照ください。
効果につながる新卒採用フローの設計
ちなみに、採用コストは内部コストと、外部コストに分けることができます。
内部コストは、採用業務で発生した社内の経費、人事担当の人件費。
例えば
- 人事・採用計画の策定
- 求人広告や人材紹介担当者との打ち合わせ
- 合同説明会や会社説明会の準備および運営
- 人事・採用に関する社内会議
- 選考活動(面談・面接、オファー面談、電話対応など)
などが挙げられます。
外部コストは、広告媒体やマッチングサービスなど、外部企業へ支払うコストです。
こちらは
- 求人広告の掲載費
- 人材紹介サービスの紹介費
- ウェブサイトの制作費
- チラシ・パンフレットの制作・印刷費
- 採用管理ツールの使用料
などが挙げられます。
(参考・出典:中途採用市場のコストは増加している? 相場や推移を徹底解説|HRreview)
「採用したい人物像」と「自社が選ばれる理由」を整理
採用活動の内部コスト(採用戦略策定に必要なコスト)が明確になった段階で、採用したい人物像と自社分析を行います。
漠然と求人広告を出しても、優秀な人材はやってきません。
自社が本当に「欲しい人材像」と、「自社が選ばれる理由」を明確にし、これらに基づく戦略を設計することが肝になります。
「選ばれる理由」は、入社によって得られるベネフィット、他社との差別的優位点を明確にして考えるとよいでしょう。
どんな人材が欲しいか(ペルソナの策定)
採用候補者のペルソナ(モデル的な人物像)を作成します。
予めペルソナを立てておくことで、ブレの少ない採用選考が可能になります。
- 募集人数
- 雇用形態(正社員・パート・アルバイト)
- 配属部署
- 年齢(新卒or中途)
- 必須スキルの有無
- 希望年収
- 生活スタイル
など
自社分析
採用候補者のペルソナと照らし合わせながら、候補者目線で入社にどんなベネフィットがあるか分析します。
選考過程で、相手に何を伝え、何が相手と共有したい事なのかを明確にしておくことは、内定承諾率の向上につながります。
- 入社することで得られるベネフィット(個々が仕事に求めるものに対する感情的な価値、経験、キャリアなど)
- 他社と比較したときの差別的優位点(仕事内容、ワークフロー、各種制度)
- 企業ビジョン・ミッション、社会貢献
- 働きやすさの社員インタビュー
- eNPS(エンプロイー・ネット・プロモーター・スコア)による貢献度分析
など
eNPS℠とは?
eNPS(エンプロイー・ネット・プロモーター・スコア)とは、「親しい知人や友人にあなたの職場をどれくらい勧めたいか」を尋ね、「職場の推奨度」を数値化したものです。
eNPSが高い企業ほど、従業員エンゲージメントが高いと、様々な調査で評価されています。
社内でeNPSを調査し、もし低いのであればどこに課題があるのか調査・対策することで、社内環境の改善、離職率の低下、リファラル採用によるコスト削減を見込めるでしょう。
採用活動は、企業のスタンスによりますが、採用がゴールではありません。
離職率が高く、大量採用・大量離脱で人材の出入りが激しい企業ではなく、採用した人材が輝き続け、推奨度の高い企業が選ばれ、生き残る時代だと言えます。
(出典:eNPS℠とは?従業員エンゲージメント向上のための指標を事例付きで解説! | 株式会社Emotion Tech(エモーションテック))
採用媒体・方法ごとの特徴
候補者のペルソナと、社内特徴を整理した後は、採用フローに沿ったツール・媒体の選定に移ります。
ここでは、主な採用媒体・ツールの特徴をお伝えします。
特徴を踏まえた上で、どこにコスト投下すべきか考えてみましょう。
求人媒体(ハローワーク、大手採用媒体など)
媒体の集客力により、多くの人へ認知を獲得できます。(媒体規模、対象業種、地域による)
採用候補者の母集団形成作りには有効な手段です。
昨年までの広告運用実績を分析し、本年の目標採用数から逆算して広告に掛ける予算を検討する必要があります。
現在、多くの求人媒体が混在しており、欲しい人材像や自社の特性に合わせた取捨選択が重要になります。
求人検索広告(Indeedなど)
大手求人メディア(リクナビ、マイナビなど)
人材紹介サービス(転職エージェント)
転職イベント・合同説明会
新聞・雑誌など紙媒体の求人広告
どの媒体においても、発信内容の精査を行い、CPAを下げることで予算規模を抑えることができます。
自社採用サイト
採用候補者は、求人媒体以外に企業ウェブサイトもチェックしています。
企業の色や雰囲気などを、事業概要、CSR活動、採用ページと共に確認されます。
企業サイトまでチェックする候補者は、自社に対しかなり興味を持っているとも言えますので、ここに力を入れておくと後々の採用コスト削減につながります。
逆に、自社サイトの情報が古い、去年と同じ内容が掲載されている、内容が薄い、働く魅力が分かりづらいサイトは信頼を得られないでしょう。
コロナ禍をはじめ、求職者を取り巻く環境は年々変化しています。
アンケートなどを活用して候補者心理を把握し、最適なウェブサイトにアップデートを続けることで、適切なマッチングにつながると考えられます。
ソーシャルリクルーティング
最近では、Twitter、Instagram等のSNSを使い、主にデジダルネイティブ世代をターゲットにした採用活動が注目されています。
採用候補者に直接声をかけるというよりは、自社に関する情報発信によるエンゲージメントの向上、採用情報など認知拡大が主な目的になります。
(参考:【SNS採用】ソーシャルリクルーティングの活用&成功の秘訣│キャリブロ!)
リファラル採用(社員からの紹介)
リファラル採用とは、社員の友人や知人を紹介してもらう採用手法です。
企業理念、文化を理解する社員がリクルーターとなるため、ミスマッチが起こりにくく、定着率の向上が期待されています。
eNPSと掛け合わせることで、活用が期待できる採用手法と言えるでしょう。
参考:リファラル採用とは?メリットや費用、社内で定着させるポイント|doda(デューダ)中途採用をお考えの法人様へ
採用説明会
自社社員と直接的なコミュニケーションを取ることで採用候補者との志望度を高めるために有効な方法です。
最近では、オンライン開催する企業も増えています。
説明会の目的は、採用候補者の志望度を高めて内定辞退などの損失を防ぐこと。
採用ページの更新と同様、採用候補者にどのような場を提供できれば満足度、志望度が高められるのかを過去のアンケートなどから分析し、最適な手法を選ぶことが大切です。
内定者のフォロー
内定辞退は、採用活動においてなるべく避けたいもの。
内定者の気持ちに寄り添い、適切なタイミングのフォローは大切です。
内定辞退を避けるために、採用候補者のエンゲージメントに注目した対策が考えられます。詳細はこちら。
内定辞退防止のカギ。エンゲージメント改善に必要な3つのステップ
最適な採用設計で、会社は変わる
最適なコストは、会社ごとに異なります。まずは自社分析と、採用フローを整理し、効果検証や改善を考慮した予算を組みましょう。
採用活動を通じた候補者エンゲージメントの改善は、従業員との信頼、社内環境の改善につながります。
採用活動をきっかけに、会社の見直しを図ってみてはいかがでしょうか 。