UIは認知でデザインする
ユーザーインターフェース(UI)デザインは、ユーザーの認知プロセスに合わせて行います。つまり、ユーザーが情報を理解し、操作できるように、UI要素(ボタン、メニュー、フォームなど)を配置し、デザインすることが重要です。
認知心理学の原則やユーザビリティのガイドラインに基づいて、ユーザーが直感的に操作できるUIを設計することが目指されます。これには、視覚的な整合性、一貫性、反応速度などが含まれます。
コンテンツは心理でデザインする
ここでいうコンテンツは、WEBサイト上のテキスト、画像、ビデオ、グラフィックなどを指します。これらのデザインとレイアウトはとても重要です。ユーザーが情報を理解し、心理的な変容をもたらすために、適切なフォーマットやコンテンツストラクチャーを設計する必要があります。
UIデザインが直感的なわかりやすさや使いやすさなどを考慮するデザイン領域である一方、コンテンツデザインは、ユーザーの心理的なニーズや反応を考慮に入れて行います。コンテンツは情報伝達やユーザーエンゲージメントのために設計され、ユーザーの心理的な反応に影響を与えます。
心理学的な原則を活用して、コンテンツの適切な構造、ストーリーテリング、カラーパレット、フォント、画像、ビデオなどの要素を選択および配置することが重要です。ユーザーの感情や行動を誘導するために心理的なトリガーを利用することも考慮されます。
コンテンツのプランニング
読者の心理や欲求を理解し、それに基づいて戦略的にコンテンツを設計することは、ウェブコンテンツの成功に不可欠です。
コンテンツがユーザーに魅力的で価値あるものであれば、態度変容を促進することができます。
前提として、マーケティング戦略の中で自社が選ばれる理由を明確にしておくことが大切です。その上で、ユーザーの視野にあるものや欲求を理解し、自社の優位点がユーザーに共感されるようコミュニケーションを設計します。
次に示すのは、共感をつくり出すためのテクニックです。
ユーザーのセグメンテーションとパーソナライズ
ユーザーの欲求や心理を理解するために、ユーザー調査を実施することは重要です。さらに、ユーザーセグメンテーションを行い、異なるユーザーグループのニーズや心理的な特性を把握します。これに基づいて、コンテンツをパーソナライズできます。
感情を利用したストーリーテリング
ユーザーは感情に強く反応します。ストーリーテリングを通じて感情を引き出し、読者がコンテンツに共感しやすくなり、態度変容を促進できます。
ソーシャルプルーフ
他の人々が製品やサービスを利用し、その効果を共有している例を提示することで、読者に信頼感を与えることができます。口コミや評判を活用しましょう。
逆説的な情報の利用
例えば「薬は飲むな」「枝豆は茹でるな」といった逆説的な情報は、読者に新しい視点を提供し、態度変容を促すのに役立ちます。既存の信念や予想を覆し、新たな価値の検討や議論の余地を与えることができます。
コール・トゥ・アクション(CTA)の戦略的な配置
コンテンツ内でCTAを戦略的に配置し、読者に望ましい行動を促します。CTAは、読者の心理的な刺激となり、行動への動機付けを提供します。
深層的な心理を見る
深層的な心理的要素は、ユーザーエクスペリエンスの設計やコンテンツデザインにおいて考慮すべき重要な要素です。ユーザーは快適で満足感を得られる体験を求めると同時に、苦痛やストレスを感じる事を回避したがる傾向があります。
これらの快適感情や苦痛感情、ペインとゲインなどの深層的な心理的な要素も、人間の行動や意思決定に大きな影響を与えます。
これらの要素を理解し、考慮に入れることは、ウェブデザインやコンテンツ戦略において非常に重要です。以下に、これらの心理的な要素について簡単に説明します。
快適感情
快適感情は、ユーザーがポジティブな経験をすることを促進します。ウェブデザインやコンテンツ戦略において、視覚的な魅力や使いやすさを高めることで、ユーザーが快適な状態になるよう努力できますが、美しいデザインに魅力に感じたり、自分の気持ちに寄り添うようなコンテンツに共感することなども快適感情に含まれます。
苦痛感情
苦痛感情は、ユーザーが不快な経験をすることを示します。UIデザインでは、ユーザーがウェブサイト上でストレスや不便を感じる場合、ユーザーエクスペリエンスの改善を考えます。コンテンツデザインでも不快感を与える事は原則として避けるのですが、ユーザーの苦痛感情へ理解を示し、共感へつなげていくという使い方をする場合があります。
ペインとゲイン(コストと報酬)
この概念も快適感情と苦痛感情に似ていますが、人々がペイン(犠牲や努力)を払うことで、何か価値あるものを得るという見方をします。ウェブデザインやマーケティングでは、ユーザーに対してペイン(例: 登録フォームの記入)とゲイン(例: 価値ある情報の入手)とのバランスを考え、ユーザーが行動を起こす動機づけを検討しています。
心理的報酬
例えば、ソーシャルメディアの「いいね!」やゲームの成就感などがこれに該当します。
ユーザーの心理的な報酬を認識し、それを利用してモチベーションやエンゲージメントを高める戦略が考えられます。
行動経済学の原則
行動経済学は、人々が経済的な意思決定を行う際の心理学的な原則に焦点を当てています。これらの原則をコンテンツデザインに適用して、読者の行動を誘導することもできます。
- バイアス
バイアスは、人々の判断や意思決定に影響を与える認知的な偏りや傾向を指します。主要なバイアスの例には、確証バイアス(情報を選り好みする傾向)、損失回避バイアス(損失を避けるための過度のリスク回避)、過度の楽観主義、過度の悲観主義などがあります。これらのバイアスは、人々が合理的な意思決定から逸脱する原因となります。 - プロスペクト理論
プロスペクト理論は、損得の感じ方が人々の意思決定に影響を与える理論です。この理論によれば、人々は損失を回避しようとする傾向があり、同じ金額の損失と得益に対する反応が異なります。 - 時間割引率
時間割引率は、未来の価値を現在よりも低く評価する傾向を指します。これは、即時な報酬を選ぶことが多い人々の行動を説明するのに役立ちます。 - 認知的負荷
認知的負荷は、情報処理の複雑さや認知的な労力を示します。行動経済学では、人々が情報の過剰な処理を避け、シンプルなルールやヒューリスティクス(判断の簡略化手法)を使用する傾向があることを考慮します。 - 行動への影響因子
行動経済学は、社会的圧力、環境要因、感情、社会的規範など、行動に影響を与える要因も研究します。たとえば、他の人々の行動に影響を受けて同じ行動をとる「社会的証拠」などがあります。