情報設計とは
WEB設計の基盤技術となる情報設計は、情報を効果的かつ効率的に伝えるためのプロセスです。情報を整理し、構造化し、表現することで、受け手が情報を理解しやすくすることを目指します。
ユーザーエクスペリエンス(UX) と情報設計
UXデザインは、ユーザーが製品やサービスをどのように感じ、どのように操作するかに焦点を当てるデザインアプローチです。情報設計は、ユーザーがウェブサイトやアプリケーション内の情報を理解し、操作するための枠組みを提供する重要な役割を果たします。情報を整理し、視覚的にわかりやすく表現することで、ユーザーが必要な情報を迅速に見つけ、使用できるようになります。
例えば、ユーザーがウェブサイト上で特定の情報を探している場合、適切なナビゲーションや検索機能の提供、適切な情報の階層化、視覚的な表現(グラフやチャート)など、情報設計がUXの向上に寄与します。
顧客エクスペリエンス(CX)と情報設計
顧客エクスペリエンスは、顧客が企業との全体的な関わりを通じて得る体験です。この体験には、製品やサービスの提供、コミュニケーション、サポートなどが含まれます。情報設計は、顧客が必要な情報にアクセスし、問題を解決し、サポートを受けるための方法を提供する一環として重要です。
顧客が製品の利用方法やトラブルシューティングの手順を理解するために、わかりやすいガイドやマニュアルを提供することが顧客エクスペリエンスの向上に繋がります。また、顧客が問い合わせをする際に効率的な情報提供や問題解決手段を提供することも、CXの向上に寄与します。
WEBサイトの情報設計は情報のまとまりから考えていく
WEBサイトにおける情報設計は、ユーザーエクスペリエンスの向上やコンテンツの効果的な伝達を実現するために重要な要素です。提供される情報を適切に整理し、分類することで、ユーザーがスムーズに情報を見つけ、理解できるようになります。
これらの情報まとまりを考慮しながら、ウェブサイトの情報設計を行うことで、ユーザーがサイトを訪れた際に求める情報を簡単に見つけられるようになり、より良いユーザーエクスペリエンスを提供することができます。
訪問目的、検索基点となるキーワードテーマ群
ユーザーが検索エンジンを使用してサイトにアクセスする場合、適切なキーワードテーマを用意することが重要です。これにより、ユーザーが関心を持つトピックに関連するコンテンツを見つけやすくなります。適切なキーワードリサーチを行い、それに基づいてコンテンツを整備することが必要です。
態度変容に関わる戦略コンテンツ群
ウェブサイトは、ユーザーの認識や態度を変えることを目指すこともあります。態度変容を促すための情報を提供するコンテンツを用意し、ユーザーにインパクトを与えることを考えます。これには、ストーリーテリング、事例研究、専門知識の共有などが含まれる場合があります。
ユーザーアクションを受け止める機能群
ユーザーが求めるアクションを行いやすくするために、適切な機能やユーザーインターフェースを設計します。例えば、コンタクトフォーム、購入ボタン、サインアップ機能などがこれに該当します。アクションを促進するための配置やデザインの最適化も重要です。
信用情報など補完的に必要なコンテンツ群
ユーザーがサイトやオンラインショッピングを利用する際、信頼性を感じるための情報が必要です。これには、お客様の声、評価、信頼性の証拠となるロゴやパートナーシップ情報などが含まれます。信頼性を高める情報を適切に配置し、ユーザーに安心感を提供します。
情報の階層化と構造化
分類した情報を階層的な構造に配置することで、重要なポイントを強調し、流れを整理することができます。これにより、読み手は情報を追いやすくなります。
まず、WEBサイトが持つ構造のタイプを理解しておくことは非常に重要です。これにより、ユーザーがサイト内を効果的にナビゲートし、必要な情報を迅速に見つけることができるようになります。
これらの構造タイプはウェブサイトの性質や目的に応じて選択されることがあり、適切な構造を選ぶことでユーザーエクスペリエンスが向上します。情報の階層化や構造化に際して、ウェブサイトのコンテンツやユーザーのニーズに合わせて最適な構造を選ぶことが重要です。
構造の類型
線形構造
- ページが一つの連続した流れで結ばれています。
- 読者が最初から最後まで順番に情報を追っていく構造です。
- ストーリーを伝える時や、一連の手続きを完了させる場面で使われます。
ツリー構造
- サイトが階層的な構造を持ち、メインページからサブページへと枝分かれしています。
- メニューやサブメニューを通じてナビゲーションが行われます。
- 主に一般的なウェブサイトやブログなどに使われます。
ウェブ型構造
- ページ同士が多数のリンクで結ばれており、複数の経路で情報を辿ることができます。
- ウェブリンクを中心とした非線形的な構造です。
- ウィキペディアのようなサイトがこの構造を持つことがあります。
ネットワーク型構造
- 複数の要素が相互に関連しながら接続されています。
- グラフやネットワークダイアグラムのような形で表現されることがあります。
- 複雑な関係性やつながりを示す際に使用されることがあります。
網羅型構造
- ツリー構造とウェブ型構造を組み合わせた形式です。
- メインページからサブページへの階層的な構造に加えて、リンクによる非線形な接続も存在します。
- 複雑な情報を整理しつつ、柔軟なナビゲーションを提供することが可能です。
視覚伝達要素の設計
カード型やリスト型の一覧ページ、図表やグラフ、動画の利用は、情報をわかりやすく効果的に伝えるための優れた手段です。
これらの視覚伝達要素を適切に組み合わせることで、情報設計はより効果的になり、ユーザーエクスペリエンスを向上させることができます。
カード型デザイン
カード型のデザインは、コンテンツをコンパクトなユニット(カード)にまとめ、視覚的に魅力的に表示する方法です。それぞれのカードが独立した情報を持ち、視覚的な一貫性を保つことができます。カードには画像、タイトル、要約テキストなどが含まれることが多く、ユーザーが関心を持つコンテンツを選択しやすくなります。
リスト型の一覧ページ
リスト型の一覧ページは、複数の項目をリスト形式で表示するものです。各項目はタイトルや要約などの情報を持ち、コンパクトにまとめて表示されます。ユーザーはスクロールすることで情報を閲覧でき、簡潔な情報提供に適しています。
図表やグラフ
グラフやチャートを使用することで、データや統計情報をわかりやすく視覚的に表現することができます。適切なグラフの種類を選び、複雑な関係性を示す際に効果的です。ただし、データの選択や軸の表現に注意が必要です。
動画の利用
動画は視聴者に情報を魅力的に伝える手段として利用されます。説明やデモンストレーション、ストーリーテリングを通じて情報を提供することができ、視覚的な理解を促進します。
モジュール/コンポーネント
モジュール/コンポーネントの設計も情報設計の重要な一部です。これらは、ウェブサイトやアプリケーション内で再利用可能な独立した部品であり、情報の効果的な伝達やユーザーエクスペリエンスの向上に大きく寄与します。
言語と表現の選択
適切な言葉選びや表現方法を選ぶことで、読み手が情報を正確に理解しやすくなります。専門用語の適切な解説や簡潔な表現が重要です。
特に戦略コンテンツの設計と言語表現において、読者との効果的なコミュニケーションを実現するための重要なガイドラインを以下に提示します。
ユーザーのニーズや目標に合わせてこれらの要素を組み込むことで、コンテンツの効果を最大限に引き出すことが可能です。効果的なコミュニケーションとユーザーエンゲージメントを促進するための重要なポイントです。
相手の目線に合わせる
コンテンツを読む人の視点や興味に合わせて情報を提供することは、相手との共感を生み出し、コミュニケーションをより効果的にする手段です。読者のニーズや関心を考慮して、情報を提供することで、より意味のあるコミュニケーションが可能となります。
合意を形成する
読者に対して共通の理解や考えを提供し、合意を得ることは、信頼感を築き、コンテンツへの関与を高める助けとなります。情報を正確に伝えることで、読者が納得しやすくなります。
気づきを提供する
新しい視点や知識、洞察を提供することで、読者に新たな気づきをもたらし、興味や関心を引き起こすことができます。興味深い事実や情報を提示することで、読者の関心を引き付けます。
コンテキストの明示
情報を提供する際に、その情報の背景やコンテキストを明示することで、読み手が情報を適切な文脈で理解できるようになります。
疑問や不安を払拭する
読者が抱く疑問や不安を取り上げ、それに対する答えや解決策を提供することは、信頼感を高める要素です。読者が情報に疑問を感じた際に、それを解消するための説明を行うことが重要です。
行動を促す
コンテンツが読者に特定の行動を促すことで、コンバージョンやエンゲージメントを向上させることができます。アクション指向の言葉や呼びかけを使用して、読者が次のステップを踏み出す手助けを行います。
これらは、感情設計にも関わる内容になりますね。
感情設計については別途記事にしていますので、ご参照ください。
- 感情設計の考え方
情報設計の重要性と期待効果
情報設計は情報の効果的な伝達やユーザーエクスペリエンスの向上を目指すために不可欠な要素です。適切な設計によって、読者の理解度や行動を育むことが可能となります。
効果的なコミュニケーション
情報設計は、効果的なコミュニケーションを実現するための重要な手段です。情報が混乱せずに伝わることで、メッセージが受け手に正確に伝わります。
認知負荷の軽減
複雑な情報を整理された形で提示することで、受け手の認知負荷を軽減できます。これにより、情報の理解が向上します。
ユーザビリティの向上
製品やサービスのデザインにおいても情報設計は重要です。ユーザビリティを考慮した情報設計により、ユーザーエクスペリエンスが向上します。
エンゲージメントの促進
視覚的な要素やわかりやすい言葉選びを使用することで、受け手の興味を引き、エンゲージメントを促進することが可能です。
態度変容
読者に特定の行動を促すための情報設計は、態度変容を促進する効果があります。読者が情報を受け取って行動することで、目標達成に向けた一歩を踏み出す可能性が高まります。
コンバージョン率の向上
ウェブサイトやアプリケーションのコンバージョン率向上は、多くの戦略目標の一部です。情報設計によって、ユーザーが求める情報や行動へと誘導され、コンバージョン率を向上させる効果が期待できます。
検索キーワードとコンテンツのマッチング
ターゲットキーワードに合致するコンテンツを適切に配置することが重要です。これによって、ユーザーが求める情報に対して適切なページが表示されやすくなります。
コンテンツの階層化と内部リンク
コンテンツの階層化と内部リンクの設計を通じて、関連ページへのナビゲーションを容易にし、検索エンジンがコンテンツをクロールしやすくすることが求められます。
態度変容やSEOについては別の記事にまとめていますのでご参照ください