プランニング

ホームページに顧客目線・利用者目線を取り入れて成果を得る方法

「ホームページはあるけれど、成果を生んでいない。何を改善すればいいのかわからない」そのような声をよく耳にします。
ビジネス目的のホームページでは、成果を出さなければ運用する意味がありません。ビジネス全体にも言うことができますが、「顧客/利用者」を見据えたゴール設定が成功のポイントになります。

 

ところが、作り手目線でつくられているホームページは意外と多く、顧客が必要としている情報はきちんとあるのに、奥底に埋もれて発見しにくいなど勿体ないケースがよくあります。

 

今回は、成果を出すホームページ作りに必要な条件と、顧客目線/ユーザー目線(以下の文中では、顧客目線と統一します)を取り入れた改善の考え方をお伝えします。
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現状分析で見るべきは、目標設定・KPI・顧客の行動

「デザインが古いからダメ」「ボタンが押しづらいからダメ」と、直感で判断していては、的はずれな施策になります。
成果が出ていないと気づいたら、まずは客観的データを用いて現状分析をしましょう。そのためにはGoogle Analyticsなどのアクセス解析ツールが有効です。ツールの使い方、データの見方がわからない…という方もいらっしゃると思いますが、基本のポイントだけ押さえておけば、サイトの大まかな健康状態は掴めます。こちらは、別の記事にする予定です。
制作会社や運用の会社にアクセスレポートを提出してもらえる場合は、「流入(トラフィック)」「進入(ランディングページ)」「目標達成率(コンバージョン率)」がわかるデータを月別に用意すると良いでしょう。

「流入(トラフィック)」「進入(ランディングページ)」「目標達成率(コンバージョン率)」の3つを分析する

ホームページの成果とは目標達成により得られます。商品購入や、カタログ請求、問い合わせなどが代表的な目標です。
事業内容によって目標は異なり、自社サイトに求められる成果も異なります。まずは、事業活動全体の中でWEBサイトが担う役割を明確にしましょう。セールス、マーケティング、広報、採用など様々な事業活動の中で、顧客や取引先、採用候補者などさまざまなステークホルダーがWEBサイトを活用するはずです。その際に、顧客が自社のサイトに求めるものは何か、顧客にとっての価値は何かを考えておきましょう。
これが顧客目線の土台になります。

その前提で、アクセスレポートをチェックしていきます。ホームページへの訪問者がどのような切っ掛けでどこから流入し、ページ内を回遊し、コンバージョン(目標達成)に至るのか、あるいはどこで離れてしまうのかを追跡します。通常、サイトに入ってきたユーザーは次のページ、次のページへと進むごとに、数が減っていき、目標達成に至る人数は絞られていきます。漏斗(ファネル)のように入り口が大きく出口が小さいとういう集計になるので、流入が少なければ、コンバージョンも少ないですし、流入が多くても途中の離脱者が多ければ、やはりコンバージョンは少なくなります。
つまり、流入を多く獲得しながら、途中で離脱してしまう原因を減らしていけば、コンバージョンが増えるという論理です。

最初に進入したページ(ランディングページ)だけで離脱してしまう事を直帰と呼びます。ランディングページで直帰率が高いページのほか、目標達成までのルートで離脱が多いページを見つけ出しましょう。

顧客が見えない施策では、成果を得られない

自社にとっての「目標」をはっきりさせ、顧客の行動分析をしっかりすれば改善できるかというと、そんなに簡単ではありません。
目先の数字の増減だけにとらわれて闇雲に施策を講じても、効果はあまり期待できないでしょう。ここで大切なことは、顧客心理です。
顧客は何を考えてホームページに訪れたのか、どうしてそのコンテンツを閲覧したのか、どのような情報を求めているのかなど、リアリティのある「顧客目線」を持つことで、顧客の心をつかみ、成果を得られます。
先に挙げた離脱の問題なども、顧客が求める情報が不足していたり、ニーズを捉えていない事が原因である場合が多いのです。
これも顧客目線を知る手がかりになりますが、より深く顧客心理を知るにはどうすればいいでしょうか。

「主観」と「行動」のデータを掛け合わせて導き出す

社内メンバーだけの会議で顧客を想定すると、自社にとって都合のよい人物像を描いてしまいがちです。
ここは、実際に取引をされているお客様などにアンケートをお願いするなど、事実ベースの分析が重要になります。
その上で、顧客のニーズを整理してターゲットやペルソナを設定します。
ターゲットとペルソナについては、こちらの記事で紹介しています。
ターゲットとペルソナの違いと成果を出すための使い方


アンケート調査は、お客さまの主観データとして大変重要ですが、「期待する答え」を書いてしまったり、集票の方法によって回答が偏ってしまう側面があります。
ユーザーの感情を直接拾うことができる主観データに対して、売上データやアクセス解析などの行動データを突き合わせると、主観評価の検証ができるようになります。
アンケート調査の方法はさまざまあり、Google formなどを活用すると安価に実施できます。
より精度を高めた分析をするには、推奨度からユーザーの本音を引き出すアンケートとしてNPS(顧客推奨度・ネットプロモータースコア)をおすすめします。
NPSについては、こちらの記事を参照ください。
NPS®︎とは何か?|関係性の強さを数値化する新たな指標

カスタマージャーニーマップを活用する

様々な顧客接点と顧客の行動、心理を1枚の図に書き出し、俯瞰できるツールがカスタマージャーニーマップです。

マーケティング活動全体のユーザーシナリオに則って書いたり、WEBサイト内だけの行動シナリオで書いたりと、目的によって範囲は異なります。

ユーザーシナリオとカスタマージャーニーマップについは、こちらの記事を参照ください。
「ユーザーシナリオ」とは?作ることで得られる3つのメリットを解説

ホームページ内のコンテンツには、顧客とのさまざまな接点が存在します。
広告、検索サービスはもちろん、PRによって製品やサービスがニュースサイトに取り上げられたり、自社のブログがSNSで紹介されるかもしれません。
そのため、必ずしもトップページから閲覧開始するわけではありません。
またGoogleやYahoo!といった検索サービスでは、検索キーワードの検索意図に沿ったページが検索結果がリストされます。サービスの詳細ページや自社のブログが最初に訪れるページなる可能性もあるので、そのページに顧客が必要としている情報が入っているかチェックしましょう。

アクセス解析ツール等で、多くの顧客が訪れるページを抽出します。
そうすると、各ページによって、顧客の異なる訪問目的が浮かび上がります。
また、自然検索や広告以外の流入経路を発見できるかもしれません。こうした様々な接点をカスタマージャーニーマップに書き込んでいき、接点毎で顧客がとっている行動から、訪問の意図やニーズを探り、接点でのコミュニケーションが最適になるように考えて行きます。
漠然と課題抽出をするのではなく、客観的な観測をもとに俯瞰できるのが、カスタマージャーニーマップのメリットです。

KPIを決めて継続的な改善施策を実施

カスタマージャーニーマップでユーザー像と課題を俯瞰したあとは、施策の優先順位とKPIを決めます。
顧客目線での改善、というテーマですから、単に広告費の増額や闇雲な検索順位対策などではなく、
総合的にCX(顧客体験)を向上するためのKPIを定める事が肝要です。直帰率やCV率だけでなく、閲覧ページ数や滞在時間なども顧客体験向上施策の成否を知るKPIになります。前述のNPS調査を継続的に行う事も効果的です。
KPIで進捗率を確認し、改善を繰り返すことで、着実に成果を伸ばすことが可能になるでしょう。

Summary

ホームページの運用に予算を付けている会社でも、顧客の声を知るための施策は予算の都合等で後回しにされがち。
ですが、アクセス解析ツールの数値だけで、顧客ニーズを的確に把握するのは難しいものです。定性データと定量データの両面から分析し、改善活動を続けることが、結果としてスピーディで費用対効果の高い成果向上に貢献するでしょう。