NPS®を事業へ活用するメリット
NPS®を事業へ活用するメリットとしては、下記のようなものが挙げられます。
<サービス品質を定量的にモニタリングできる>
NPS®によって、サービスに対する顧客からの評価を数値として表すことが可能になるため、KPIの一つとして利用することも可能となります。
たとえば、自社商品のカスタマーサポートにおいて、顧客からの問い合わせにいくつ回答したかをKPIとしている場合に、併せてNPS®によるサービスへの評価を組み合わせることで、より顧客満足度の高いサービスを実現するための仮説を立てるのにも役立ちます。
<顧客からの正直な意見を反映できる>
顧客満足度調査(CS)の場合、「満足でも不満でもない」という回答者は「満足」と回答する場合が多く見られますが、「友人や同僚に勧められるかどうか」という質問に対しては、厳しい評価をする傾向があります。
それは「友人や同僚」に対して責任を感じさせる内容の質問になっていることも影響していると考えられます。
このため、NPSでは顧客満足度(CS)調査よりも正直な回答を得やすく、サービス品質を見直すにあたってのカギとなるような意見も多く含まれているといえます。
<ポジティブなコメントをスタッフのモチベーション向上に活用できる>
NPS®の自由記入欄にて、顧客から感謝の言葉など、ポジティブなコメントを直接受け取ることができます。
このようなコメントをスタッフに共有することで、モチベーションの向上につなげることが可能です。
活用の実例
下記のように、NPS®は様々な業種の企業で、様々な施策に活用されています。
<ソニー損害保険株式会社>
ソニー損保は2013年にNPS®を導入しましたが、その数値は悪い数値ではなかったものの、顧客が「他社との比較が面倒」といった消極的な理由で自社を選んでいたことが判明しました。
さらに調査を進めることで、NPS®の数値が、契約の継続率や好意的な口コミ回数との相関関係があることを確認し、NPS®を収益に直結する指標として重視するようになりました。
満足度の向上が収益に直結しているということが共通認識となった同社では、批判者層に直接電話でのコミュニケーションをとるといった手法を駆使して、顧客からの信頼獲得と解約の抑制に努めているということです。
参考:
https://genesiscom.jp/sonysonpo-talk01/
https://genesiscom.jp/sonysonpo-talk02/
<楽天トラベル>
楽天トラベルでは、社内の多岐に渡るサービスのパフォーマンスを細かく知るために、9つのサービス単位で毎月を基本とした調査を行い、その結果を各サービスの担当部署が直接確認できるようにしました。
これによって、各部署でのサービスに対する責任感が増し、課題分析からアクション実行まで各サービスが主体的に行うようになりました。
具体的に行なった施策一例としては以下が紹介されています。
- 「予約の変更やキャンセルに関する情報が分かりづらい」という顧客からの意見を受け、必要な情報を分かりやすく伝えられるように予約完了メールの内容を改良
- 災害が多発した2018年、カスタマーサポート(CS)の対応スピードに関する意見が多く寄せられたことを受け、CSでのチャットサポート導入の対応スピードが再確認され、対応スピードを加速
- 「予約の変更やキャンセルに関する情報が分かりづらい」という顧客からの意見を受け、必要な情報を分かりやすく伝えられるように予約完了メールの内容を改良
- 災害が多発した2018年、カスタマーサポート(CS)の対応スピードに関する意見が多く寄せられたことを受け、CSでのチャットサポート導入の対応スピードが再確認され、対応スピードを加速
参考:
https://www.nttcoms.com/service/nps/case/r-travel/
<東京メトロ>
東京メトロは、私営化を機に路線ごとのパンフレットを作成し、各パンフレット内で、各沿線の利用に関する感想や、今後期待することなどに対するフリーコメント型のアンケートを実施していました。
郵送での回答にも関わらず、回収率は5%ほどで、2,000通の回答が寄せられましたが、それらの回答をどう分析・活用するのかを見出すことができていませんでした。
そこで、「路線の推奨度」と「パンフレットの推奨度」の2点に関して、NPS® を中心としたアンケートを実施したところ、評価の低い人・高い人が何に注目しているのかが判明しました。
また、大きなサービス改善が行われる時には、未来の期待値として「○○が改善されると、どれくらい勧められるか」という質問も行うことで、施策が実施された際のインパクトも確認できるようになりました。